将棋電王戦が開催され、初めてコンピュータが現役棋士に勝利した。
電王戦とは、コンピュータと棋士の対戦で第1回電王戦は、2012年に米長邦雄永世棋聖とコンピュータ将棋プログラムのボンクラーズによって行われた。
第2回は、2013年3月23日から5週にわたって、プロ棋士5人とコンピュータ5ソフトの団体戦が行われ、棋士側は1勝3敗1分けで終わった。
しかし対戦した将棋パソコンソフトも様々である。今回の5つのソフトは世界コンピュータ将棋選手権で1位から5位までのソフトであったが、アマチュアの方が作ったソフトもあれば東京大学の研究室が作ったソフトもある。
そもそも、最終戦で勝利した「GPS将棋」は679台によるクラスター処理を行い、1秒間に2億5千万手を読むらしい。
つまり棋士1人対コンピュータ679台というわけだ。これはあまりにも棋士側にとって不利だろう。話によると「GPS将棋」1台のみでの運用ではアマチュア棋士の有段者でも勝てる場合があるそうだ。
もし今後も電王戦を行うとすれば、棋士とコンピュータソフトがある程度対等な条件で対戦すべきだと考える。
今回の棋士側の敗戦を棋士にとって屈辱であると評したメディアもあったが、自分はそうは思わない。
将棋は概して好手を指した方が勝つというより、悪手を指した方が負けるといわれる。人間同士では好手と悪手が繰り返される。ところがコンピュータ相手だとそうはいかない。は悪手を指すと、容赦なく正確無比に突いてくる。そこには人対人での駆け引きなどは存在しない。
特に持ち時間が少なくなると、俄然コンピュータが優位になる。なにせ1秒間に2億5千万手を読むのだから短時間の判断では人間は到底叶わない。
今回の対戦、コンピュータ側には棋士相手に強さを証明できて得るものが多かったが、棋士側にとって何の意味があったのか。マスコミを初め世間の興味が高まったためその要望に応えるために対戦したのだろうが、本来の人間力や個性のぶつかり合いである将棋の面白さを広めることに貢献したとは言い難い。もっと将棋を通じた人間と人間が織りなす感動や勝負の面白さなどを広めることに努力してもらいたい。
一方コンピュータに関しては、将棋にかかわらず人間を超える性能を持っていることは誰もが分かっている。しかし、そのコンピュータの能力を持ってしても自然相手には常にその全てを把握できているとは誰も思っていない。たとえば地震がそうである。以前より地震の予知を科学者達は行っているが、近年の目覚ましいコンピュータ技術の発展も完全な地震予知には至っていない。何台のコンピュータをつなげてクラスター処理を行っても良いから災害の予知に大きな成果を挙げてもらいたいと切に願う。
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