2013年4月3日水曜日

「2001年宇宙の旅」

「猿の惑星」と同じ1968年に「2001年宇宙の旅」も発表された。

この作品を最初に観たのはいつだったのだろうか?多分スターウォーズの第一作が封切られた年にTVのロードショウ番組で観た記憶がある。スターウォーズに影響を与えた映画ということで、期待してみたのだがよく分からなかった。今考えればスターウォーズと比べるのは間違いだったと思う。
それから何度か観たが印象はあまり変わらなかった。何でみんなこの映画は素晴らしいという評価をするのか不思議だった。

原作者のアーサー・C・クラークはこう言ったそうだ。
「もしもこの映画が一度見ただけで理解されたのなら、われわれの意図は失敗したことになる。」
よく分からない印象を持ったのは当然だったらしい。

ところが何度か観た時ふと思ったのだ。
ちょっと待てよ。この映画が作られた時CG(コンピュータグラフィック)て無かったんじゃないか?ということはあのシーンはどうやって撮ったんだ?
今であればCGを使って撮影するシーンが「2001年宇宙の旅」には多数ある。それが全て実写で撮ったとすれば一体どうやったんだ?
この映画はボイジャー計画以前であることは言うまでも無いが、アポロ計画よりも前に作られている。人類は他の惑星の映像はおろか、月にも降り立っていない時代だ。それなのにここまで完璧に宇宙の映像を描き出している。

それに気づいた時ぞっとした。この映画とんでもないぞ!!
発表当時に観た人たちが受けた衝撃が想像できた。

同年に『猿の惑星』 も発表されたが、これだけクオリティーが高い作品が2作同時に登場したということはある意味奇跡に近い出来事であったと思う。

この映画がここまで見事に仕上がったのもキューブリックの完璧を求める姿勢にある。キューブリックはこの映画を作るにあたり天文学者、物理学者はもちろんのこと生物学者に至るまで、さまざまな科学分野の人間に助言を求め調べ尽くしたらしい。そして完璧な宇宙空間の映像を作り出した。

またキューブリックはこの映画でそれまでには 無い映像技術をいくつも生み出している。キューブリックいわく「存在しない技術なら作り出せば良い」。またこうも言ったらしい「人間の想像しうるすべては必ず映像に出来るはずだ」。そしてそれまでに無い奇跡的な映像 が生まれた。
この映画は、ルーカス、スピルバーグなど多くの映画監督に絶大な影響を与えた。

キューブリックは完璧主義者として知られているが、撮影が終わった後全てのセットや大道具小道具を処分してしまった。
後に続編となる「2010年宇宙の旅」を制作する際に、「2001年・・・」で使用したセット等が無く、また全て作り直したそうだ。

発表された当時と比べて家庭向けTVの性能は格段に向上している。今後ますます向上していくだろう。それでもその鑑賞に十分堪えられる映画として「2001年宇宙の旅」は存続していくと思う。全くスゴイ映画だ。


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