2013年4月20日土曜日

「ミクロの決死圏」

先日 「ミクロの決死圏」を観た。以前より興味があった映画だった。
10年以上前にスピルバーグがリメイクした「インナースペース」を観た。これはなかなか面白い映画だったし、その元になった「ミクロの決死圏」という映画の存在を知って一度観てみたいとずっと思っていた。

「ミクロの決死圏」は1966年のアメリカのSF映画。当時SFといえば宇宙と相場が決まっていたのが、人間の身体を舞台にした作品とて興味深い作品である。

宇宙の神秘のように、我々人間の身体も長い年月をかけて進歩してきた高度な生体反応を持っている。それをわかりやすく表現していた。
メインとなる人体の内部表現は写実的というよりは、ファンタジータッチな印象を受ける構成となっている。

ストーリーとしてはスパイアクション仕立ての導入部、潜航艇内で何者かによる妨害工作が続きチーム内に敵のスパイがいるのではないかと互いに疑心暗鬼になる密室劇的要素、次々と起こる不測の事態の克服といったサスペンス要素など幅広い要素を散りばめた作品であった。

また一方で、将来の医療・科学の進歩を予想して当時研究されていた技術やアイデアを作品内に取り入れており、例えばレーザーによる縫合など、映画に登場したものとは方向性が大きく違うにせよ、後年に実現、発展した例も見受けられる。また、言うまでも無い事だが、「軍事作戦」としての「Operation(作戦)」と、「外科手術」としての「Operation(手術)」を掛けてあり、オペレーション・ルームから軍医たちによるモニターのもと、この「作戦(手術)」は進行される。この技術が確立されると、「数個師団をポケットに入れて持ち運べる」とか、「微細手術」を行なうプローブとなる潜航艇の、「縮小手続き」の丁寧な描写に、西洋近代科学技術のもつ「スケール感(観)」が、象徴的に言及されており、この映画の「科学教育効果」にも大変高いものがある。

本作は人体内部の造形や、その中を潜航艇で航行する特撮で、アカデミー美術賞および視覚効果賞を受賞した。その他、撮影賞・音響賞・編集賞にもノミネートされている。


「ミクロの決死圏」に倣いスティーヴン・スピルバーグが製作し、「ミクロの決死圏」のリメイク版とされるのが「インナースペース」。
監督:ジョー・ダンテ、製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ。ワーナー・ブラザーズ配給作品である。
体内での冒険をメインで扱った名作「ミクロの決死圏」とはアプローチを変え、重点は体内に入ったパイロット、デニス・クエイドの指示に従って地上での大冒険を展開するマーティン・ショートの方に置かれている。

またデニス・クエイドが恋人(メグ・ライアン)の体内で自分の赤ん坊(胎児)を見つけるシーンは感動的である。

「ミクロの決死圏」にコメディー的センスを加えて、単純に楽しめる映画となっていて面白かった。こちらはまた観てみたいな。








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