金正恩第一書記が北朝鮮の指導者の地位について一年が経った。
今、朝鮮半島の緊張が高まっている。
以前の金日成国家主席・金正日総書記は危機を煽りながらも落としどころをふまえ、挑発的な発言と共に妥協点も暗に明示していた。ところが現在の金正恩第一書記はその点がハッキリしない。アメリカもこの点も戸惑っているようだ。
北朝鮮と日米韓の3国を考えた場合、大きく違う点がある。それは北朝鮮は世論を考える必要がないという点だ。独裁体制の北朝鮮では国民に言論の自由はなく、政府が決めることにただただ従うことしかできない。
それに対して民主主義の日米韓では世論が大きな力を持つ。国の指導者も、国民の意見を無視して物事を決めることは許されない。
たとえば今回、アメリカは北朝鮮の挑発を力で押さえ込む姿勢を見せるためステレス性能を持ったB2戦略爆撃機を米韓演習に急遽参加させた。ところが、このことが北朝鮮をいっそう煽る形になったのではないかとアメリカ国内からの世論の反発を受けた。同様な世論に対する配慮は日本や韓国でも見られる。難しいところだ。
しかし報道などによると、北朝鮮も決して一枚岩ではないようだ。朝鮮労働党と朝鮮人民軍との対立が内部にあるらしい。
北朝鮮では民主主義国家における重要な原則であるシビリアンコントロール(文民統制)が存在しない。シビリアンコントロールは政治が軍事をコントロールする重要な制度で、軍事力の暴走を抑制するための重要なシステムだ。文民(国民)が、選挙で選ばれた国民の代表を通して軍隊をコントロールするというシステムは民主主義国家においては必要不可欠とされている。
歴史を読み解いても、武力が権力を持ってしまうと全くコントロールできなくなり、それが戦争といった最悪の状況の陥る例は枚挙に暇がない。北朝鮮ではシビリアンコントロールの制度がないため、軍をコントロールできなくなりつつあるのではないか。
権力者に軍をコントロールするだけの力量があれば良いが、一個人の資質に国の命運を委ねてしまうというのは非常に危険であり、そのため憲法等でシビリアンコントロールを明文化しておく必要があると考える。
十分な根回しをして朝鮮戦争を仕掛け、各国に対して渡り合った金日成主席と、その父の姿を側で長い間見てきた金正日総書記。それに比べて金正恩第一書記は若く経験が不足している。軍をコントロールできるか未知数だ。
以前読んだ本にこんな事が書かれていた。
「正しい判断が出来きるリーダーがいる組織でも、間違った情報を与え続けると組織としては間違った方向へ進む。」
関係各国のリーダーは正しい情報に基づき正しい判断をして欲しいと切に望みたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿