2013年6月21日金曜日

ブラジルサッカー

来年のW杯のプレ大会であるコンフェデ杯開催中に勢いを増す反政府デモ。サッカーはブラジルの国技とも言えるスポーツだったのではないだろうか?
それなのにサッカーW杯の開催に反対するとも言えるデモが行われている。不思議だ。そこで調べてみた。すると以前と違ったブラジルの内情が分かった。

以前は才能のある子供達のうち、経済的に恵まれている子供はF1ドライバーを目指し、恵まれない子供達はサッカー選手を目指すと言われていた。

そのF1ドライバーの代表が故アイルトンセナであり、サッカー選手の代表がサッカーの神様といわれるペレであり、スラム街出身選手のロナウドやアドリアーノであった。

だが、中国やロシアなどとともに新興5カ国(BRICS)の一角として経済発展を果たし、中産階級が増えた今は違う。用具は簡単に手に入り、才能を見いだされれば、母国の代表で活躍する前でも国内外のプロクラブの下部組織でエリート教育を受けられる。
南米最大規模のスラム街があるリオデジャネイロのロシーニャ地区にさえ、芝生のグラウンドがつくられ、子供たちがまっさらなユニホームとスパイクを身につけて、ボールを追いかける姿が見られる。
すなわち、経済的に裕福でなければサッカーのエリートコースに乗ることは難しくなっていると言うことらしい。

ブラジルで過熱するデモが示すのは、国の経済成長に伴い国民が夢を託すスポーツではなくなってきているという現実だ。
同国サッカー連盟会長のホセ・マリア・マリン氏(81)は「ブラジル人は生まれたときから、サッカーとともに生きている。医者や弁護士などのキャリアというが、ブラジルではサッカーを練習することがキャリアだ」という。

コンフェデレーションズ杯でMVPに選ばれたネイマールも、幼年時代は経済的に不遇であったらしいが、そのサッカーの才能によって14歳くらいからサッカーによる収入があり、一家を養うのに十分だったらしい。

ネイマールほどの才能があれば、家庭の経済状況はあまり関係ないようだが、そうでなければサッカーの才能を伸ばすためにもある程度恵まれた家庭環境が必要なのだろう。
ブラジルの経済発展に伴い、ブラジリアンドリームというべきサッカーでの成功物語も変化しているらしい。

2013年6月16日日曜日

AKB48選抜総選挙

第5回AKB48選抜総選挙で、HKT48の指原莉乃(20)が史上最高の15万570票を獲得し初の「女王」となったことが大きな話題となった。これに関して非常に興味深い記事があったので紹介したい。

それは指原の票獲得に永田町が動いたというものである。
指原の応援に、指原の地元の大分市釘宮(くぎみや)磐(ばん)市長(65)が全面支援を宣言していた。
そして釘宮氏が国会議員時代から「政治の師」と仰ぐ羽田孜元首相(77)サイドも釘宮氏の要請を受けて指原を全面支援した。
そして「羽田-釘宮ライン」が行ったのが、羽田氏サイドと釘宮氏が信奉してきた羽田氏の「師匠」である田中角栄流選挙手法。ロッキード事件で実刑判決を受けた直後でありながらも22万票という最多得票数で当選したあの角栄流選挙手法である。

言うまでもなく指原本人が個別訪問したわけではない。しかし指原に代わって羽田氏サイドは1カ月間以上、知人はじめ会う人会う人に指原さんをよろしくお願いしますと頭を下げ続けた。フェースブックでも支持を呼びかけた。これが効いた。波及効果で、ざっと最低2万人に声をかけた計算になるらしい。AKBのほかのどのメンバーもそんな手法はとらなかったはず。勝つためには空中戦だけでなく、「どぶ板」と言われるような角栄流選挙だったようだ。
その結果、指原は空前の「15万票超」を獲得した。

たとえAKB総選挙といっても、長年“本物”の選挙をこなしてきたプロが真剣に取り組めば負けない。選挙に人生がかかっている政治家のすごさの一面を感じた思いがした。

また今回の選抜総選挙は別の側面からも注目を集めた。選抜総選挙では投票受け付け開始翌日の5月22日、速報結果を公表した(選抜総選挙の投票期間は5月21日~6月7日)。過去の選抜総選挙での速報段階の票数と最終結果の増減率を分析した上で、今回の速報値から最終的に指原さんが1位と予想、的中させた大学教授も現れた。統計学としても興味のわく題材だったのだろう。

これは最近流行のビッグデータの活用にも通じる。ビッグデータとは、フェイスブックやツイッターなどのSNSを含めインターネット上の膨大な情報を収集、分析することでビジネスなどに生かすというもの。このビッグデータが今、夏の参院選を控えた永田町でも注目を集めている。

ビッグデータで世論の動向を読み取り、情勢分析や候補者の的確な演説の材料としたり、特定の言葉を設定した上で検索すれば、誹謗中傷を発見することにもつながる。インターネットを使った選挙運動が参院選から解禁されるのを受け、選挙期間中も活用しようと主要政党はネット監視チームを設置して目を光らせる態勢をとろうとしている。

夏の参院選を控えて、今回のAKB48選抜総選挙は良いリハーサルになったようだ。
まったくAKBは日本の政治にも影響を及ぼし始めているらしい。

2013年6月13日木曜日

性善説

人間の本性は「善」であるのか、あるいは「悪」であるのか。いわゆる「性善説」と「性悪説」の議論は永遠の続くように思える。しかしこれに対して科学的検証が入ったようだ。

京都大学大学院の鹿子木康弘特定助教らの研究グループが発表したもので、内容は次の通り。

研究グループは、ある図形が別の図形を攻撃していじめている様子をアニメ-ションで描き、生後10ヶ月の赤ちゃん20人に見せた。このあと、同じ赤ちゃんにアニメーションと同じ図形を選ばせたところ、80%に当たる16人がいじめられた側の図形を選んだということだ。
研究グループでは、弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示した結果と解釈できるとしている。グループでは、大人を対象に同じような実験を進めていて、大人では、いじめられた側に同情する割合が少なくなる傾向があるということで、鹿子木特定助教は「人は本来は善人である可能性を示唆している」と説明している。

このニュースを見てあることを思い出した。それはNKHスペシャル「鯨対シャチ」のワンシーンだ。それは次のような内容だった。

北米アラスカ沖に浮かぶアリューシャン列島。世界一と言われる豊穣の海だ。
春、メキシコ沖からクジラ親子が北上してくる。その幼いクジラを狙って続々と集まる総勢200頭ものシャチ軍団。最強ハンターは見事なチームワークでクジラに攻撃を仕掛ける。
そのアリューシャン列島のユニマック海峡で母鯨とはぐれたコククジラの仔がいた。
何十キロも離れた場所にいる標的も見つけ出す事の出来るシャチは当然の様に攻撃を開始。強烈な体当たり、のしかかり、尻尾に噛み付いて海底へ引きずり混む。仔鯨は絶体絶命だ。その時、突如としてコククジラとは別種であるザトウクジラの群れが現れ、大きな唸り声を上げながらシャチの群れに突進。
テールスラップ、ペックスラップ等(尾びれや胸びれを海面に叩きつける行動)でシャチを攻撃した。
ザトウクジラは世界で一番大きな腕を持つ生物。その胸びれ(前足)は5mにも達し、重さは500kgもある。それをシャチの頭を狙って振り下ろす。いくら海の王者シャチでも直撃したら致命傷になる。ザトウクジラはシャチたちをみごと撃退。コククジラの仔は無事にベーリング海に入る事が出来た。

ザトウクジラのこの行動は最近発見されたらしく、アシカなどの海獣類を助けていた事例もあるらしい。ザトウクジラはなぜ別種の生物を助けるのか、同種や肉親以外の生物の生命を守るという行動は生物界では殆ど無いことで、これはまだ謎だそうだ
つまり鯨も、本質的に弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示したということだろう。

本質的に善であっても、その後の環境によって悪にもなりうる。本能で生きている動物は善が悪に変わることは無いだろうが、人間の場合は変わる場合が多々ある。
結局のところ、自分の意志が大きな意味を持つのかもしれない。