2013年8月28日水曜日

レスポール

レス・ポールと聞いて、ギターの名器のギブソン社製レスポールモデルを思い出す人が多いのではないだろうか。しかし、レスポールは実在した人物である。

エリック・クラプトンやキース・リチャーズ、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、エドワード・ヴァン・ヘイレンなど名だたるミュージシャンたちに愛用され、エレキ・ギターの代名詞となった「レスポール」の産みの親がレス・ポールであった。

1915年6月9日、アメリカ、ウィスコンシン州生まれ。

1930年代よりミュージシャンとして活動をスタート。彼は元々がギタリストであり、現在までに50枚のシングルと35枚のアルバムをリリース、累計で合計3千万枚以上のレコードセールスを記録している。1940年代に世界で初めてソリッド・ボディのギターを発明し、その後、レコードのカッティングマシーンを自作。多重録音を可能にしたり、アナログディレイマシンの原型を発明した。

1951年には妻のメリー・フォードとのデュオ、レス・ポール&メリー・フォードの『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』が全米一位を獲得。その翌年、ギブソン社初のソリッドギター“レスポール”が発売される。人気の低迷や、離婚、耳の鼓膜が破れるという事故に見舞われるも、1974年現役復帰。1976年チェット・アトキンスと作成した「チェスター&レスター」で1977年グラミー賞を受賞。今までに5 度グラミー賞を受賞しているほか、1988年には、後世のロック・アーティストに影響を与えた人物に贈られる、ロックの殿堂のアーリー・インフルエンス部門に殿堂入りしている。また、2005年には8トラック・テープレコーダーやギブソン・レスポールの功労により、ミュージシャンとして唯一「発明家の殿堂」入りを果たした。

キース・リチャーズは「彼は俺たちに最高のオモチャを与えてくれた」とコメントしている。エディ・ヴァンヘイレンは「彼がしてくれた事が無ければ、自分は今していることの半分も出来なかった」とも言っている。

またカーペーンターズのリチャーズ・カーペンターもレスポールの多重録音を初めて聞いた時、非常にショックを受けたと述べている。幼かった彼は多重録音されたメリーフォードの歌声を聞いて、母親に「どうやったらあんなに歌えるか?」と尋ねた。それに対して母親は「一生懸命練習すれば歌えるようになる」と答えたらしい。

全くもってレス・ポールがいなければ、現代の音楽産業の復興はなかったのである。

レスポールはその名を冠したギターだけでなく、その音楽性においても多大なる影響を多くのミュージシャンに与えた。否、彼はミュージシャンという範疇に治まらないアーティストであり、発明家である。それはまるでルネサンスにおけるレオナルドダヴィンチの如く、ITにおけるスティーブジョブスの如くであった。

レス・ポールは93歳になってもニューヨークのJAZZクラブで毎週月曜日にステージにあがっていたが、2009年8月13日、肺炎によりニューヨークの病院にて94歳で死去。

今後彼のような偉大なアーティストが出てくるかどうか。不世出の巨人といっても過言ではないであろう。

2013年8月18日日曜日

グーグル

グーグルのもつインターネットへの影響力がよくわかる出来事が起こった。
8月17日、グーグルの提供するサービスが世界的に数分間停止した。その影響で、世界のトラフィックが40%減少したと報告された。

グーグルが約2分間停止しただけで、世界のネット・トラフィックが40%減少したのだ。
8月17日の23時52分(英国時間)に始まったこの出来事は、YouTubeやGmailなど、グーグルが提供するすべてのサービスに影響した。1~5分間の停止のあと、23時57分までには接続が回復した。

ウェブ分析のGoSquared社によると、これによりページビューがおよそ40%と大きく減少したらしい。
グーグルは今回の問題に関してコメントしていないが、同社のAppsステータスダッシュボードにはサーヴィス停止のメッセージが掲示されている(日本語サイトでは17日午前8時37分に表示)。

11分後には、障害が解決したというメッセージとともに、「太平洋夏時間の15時51分と15時52分の間、グーグルへのリクエストの50~70%がエラーを受け取った。サービスは1分後には大半が復旧し、4分後には完全に復旧した」と説明している。

2012年11月にも、世界各地においてグーグルが提供するサーヴィスが6分間停止。全ユーザーの10%に影響した。

ネットを利用しているユーザーで、グーグルの提供するサービスを全く利用したことがない人はいないであろう。ネット利用に関してPCだけでなくスマートフォンを含めると、恐らく全ての人がグーグルのサービスを現在も利用しているに違いない。

アップルやマイクロソフト、インテル抜きにPCが成り立たないように、グーグル抜きにネットは成り立たなくなっているようだ。

改めて思い知らせられたニュースであった。

2013年7月30日火曜日

「棋士」と「女流棋士」

将棋の女流名人など4つの女流タイトルを持ち、日本将棋連盟のプロ棋士養成機関「奨励会」の初段でもある里見香奈さん(21)が29日、大阪市の関西将棋会館で行われた関西奨励会の対局で2連勝し、直近の成績が昇段規定の12勝4敗を満たして二段への昇段を決めた。

女性の奨励会員が二段に進んだのは初めて。里見さんは会見で「少し時間がかかってしまいましたが、(二段に)上がることができてほっとしています」と安堵(あんど)の表情を浮かべたとのこと。

将棋には四段以上の「棋士」と、女流棋戦に参加する「女流棋士」の2つのプロ制度がある。これまで棋士となった女性はおらず、里見さんは女流棋戦に参加する傍ら、女性初の棋士を目指して平成23年5月、奨励会に1級で編入。24年1月に女性初の初段となった。
里見さんは島根県出身で、16年に女流棋士としてデビュー。今年5月に史上初の女流5冠を達成した。

「女流棋士」と「棋士」が違うと言うことを初めて知った。つまりこれまでは女流棋士と羽生善治とはレベルが違いすぎて対戦できなかったのだ。

将棋や囲碁の世界は、数少ない男女平等の世界であると思う。男女の違いだけでなく年齢の違いも関係ない。強ければ若くても段が上がることが出来る。

そういう世界でも今まで「女流棋士」でなく女性の「棋士」はいなかったということは、頭脳に関しても男性が女性より優位ということなのだろうか。
いやいや一概にはそうはいえまい。というのも将棋では長考がある。身体を動かすことはないにしてもフルに頭脳を回転させるためには体力が必要だ。体力という面では、男性の方が女性より有利であることは間違いない。

将棋の棋士という凡人では想像も出来ない世界では、体力が頭脳の一部となるのかもしれない。どちらにしても興味深いことだ。

2013年6月21日金曜日

ブラジルサッカー

来年のW杯のプレ大会であるコンフェデ杯開催中に勢いを増す反政府デモ。サッカーはブラジルの国技とも言えるスポーツだったのではないだろうか?
それなのにサッカーW杯の開催に反対するとも言えるデモが行われている。不思議だ。そこで調べてみた。すると以前と違ったブラジルの内情が分かった。

以前は才能のある子供達のうち、経済的に恵まれている子供はF1ドライバーを目指し、恵まれない子供達はサッカー選手を目指すと言われていた。

そのF1ドライバーの代表が故アイルトンセナであり、サッカー選手の代表がサッカーの神様といわれるペレであり、スラム街出身選手のロナウドやアドリアーノであった。

だが、中国やロシアなどとともに新興5カ国(BRICS)の一角として経済発展を果たし、中産階級が増えた今は違う。用具は簡単に手に入り、才能を見いだされれば、母国の代表で活躍する前でも国内外のプロクラブの下部組織でエリート教育を受けられる。
南米最大規模のスラム街があるリオデジャネイロのロシーニャ地区にさえ、芝生のグラウンドがつくられ、子供たちがまっさらなユニホームとスパイクを身につけて、ボールを追いかける姿が見られる。
すなわち、経済的に裕福でなければサッカーのエリートコースに乗ることは難しくなっていると言うことらしい。

ブラジルで過熱するデモが示すのは、国の経済成長に伴い国民が夢を託すスポーツではなくなってきているという現実だ。
同国サッカー連盟会長のホセ・マリア・マリン氏(81)は「ブラジル人は生まれたときから、サッカーとともに生きている。医者や弁護士などのキャリアというが、ブラジルではサッカーを練習することがキャリアだ」という。

コンフェデレーションズ杯でMVPに選ばれたネイマールも、幼年時代は経済的に不遇であったらしいが、そのサッカーの才能によって14歳くらいからサッカーによる収入があり、一家を養うのに十分だったらしい。

ネイマールほどの才能があれば、家庭の経済状況はあまり関係ないようだが、そうでなければサッカーの才能を伸ばすためにもある程度恵まれた家庭環境が必要なのだろう。
ブラジルの経済発展に伴い、ブラジリアンドリームというべきサッカーでの成功物語も変化しているらしい。

2013年6月16日日曜日

AKB48選抜総選挙

第5回AKB48選抜総選挙で、HKT48の指原莉乃(20)が史上最高の15万570票を獲得し初の「女王」となったことが大きな話題となった。これに関して非常に興味深い記事があったので紹介したい。

それは指原の票獲得に永田町が動いたというものである。
指原の応援に、指原の地元の大分市釘宮(くぎみや)磐(ばん)市長(65)が全面支援を宣言していた。
そして釘宮氏が国会議員時代から「政治の師」と仰ぐ羽田孜元首相(77)サイドも釘宮氏の要請を受けて指原を全面支援した。
そして「羽田-釘宮ライン」が行ったのが、羽田氏サイドと釘宮氏が信奉してきた羽田氏の「師匠」である田中角栄流選挙手法。ロッキード事件で実刑判決を受けた直後でありながらも22万票という最多得票数で当選したあの角栄流選挙手法である。

言うまでもなく指原本人が個別訪問したわけではない。しかし指原に代わって羽田氏サイドは1カ月間以上、知人はじめ会う人会う人に指原さんをよろしくお願いしますと頭を下げ続けた。フェースブックでも支持を呼びかけた。これが効いた。波及効果で、ざっと最低2万人に声をかけた計算になるらしい。AKBのほかのどのメンバーもそんな手法はとらなかったはず。勝つためには空中戦だけでなく、「どぶ板」と言われるような角栄流選挙だったようだ。
その結果、指原は空前の「15万票超」を獲得した。

たとえAKB総選挙といっても、長年“本物”の選挙をこなしてきたプロが真剣に取り組めば負けない。選挙に人生がかかっている政治家のすごさの一面を感じた思いがした。

また今回の選抜総選挙は別の側面からも注目を集めた。選抜総選挙では投票受け付け開始翌日の5月22日、速報結果を公表した(選抜総選挙の投票期間は5月21日~6月7日)。過去の選抜総選挙での速報段階の票数と最終結果の増減率を分析した上で、今回の速報値から最終的に指原さんが1位と予想、的中させた大学教授も現れた。統計学としても興味のわく題材だったのだろう。

これは最近流行のビッグデータの活用にも通じる。ビッグデータとは、フェイスブックやツイッターなどのSNSを含めインターネット上の膨大な情報を収集、分析することでビジネスなどに生かすというもの。このビッグデータが今、夏の参院選を控えた永田町でも注目を集めている。

ビッグデータで世論の動向を読み取り、情勢分析や候補者の的確な演説の材料としたり、特定の言葉を設定した上で検索すれば、誹謗中傷を発見することにもつながる。インターネットを使った選挙運動が参院選から解禁されるのを受け、選挙期間中も活用しようと主要政党はネット監視チームを設置して目を光らせる態勢をとろうとしている。

夏の参院選を控えて、今回のAKB48選抜総選挙は良いリハーサルになったようだ。
まったくAKBは日本の政治にも影響を及ぼし始めているらしい。

2013年6月13日木曜日

性善説

人間の本性は「善」であるのか、あるいは「悪」であるのか。いわゆる「性善説」と「性悪説」の議論は永遠の続くように思える。しかしこれに対して科学的検証が入ったようだ。

京都大学大学院の鹿子木康弘特定助教らの研究グループが発表したもので、内容は次の通り。

研究グループは、ある図形が別の図形を攻撃していじめている様子をアニメ-ションで描き、生後10ヶ月の赤ちゃん20人に見せた。このあと、同じ赤ちゃんにアニメーションと同じ図形を選ばせたところ、80%に当たる16人がいじめられた側の図形を選んだということだ。
研究グループでは、弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示した結果と解釈できるとしている。グループでは、大人を対象に同じような実験を進めていて、大人では、いじめられた側に同情する割合が少なくなる傾向があるということで、鹿子木特定助教は「人は本来は善人である可能性を示唆している」と説明している。

このニュースを見てあることを思い出した。それはNKHスペシャル「鯨対シャチ」のワンシーンだ。それは次のような内容だった。

北米アラスカ沖に浮かぶアリューシャン列島。世界一と言われる豊穣の海だ。
春、メキシコ沖からクジラ親子が北上してくる。その幼いクジラを狙って続々と集まる総勢200頭ものシャチ軍団。最強ハンターは見事なチームワークでクジラに攻撃を仕掛ける。
そのアリューシャン列島のユニマック海峡で母鯨とはぐれたコククジラの仔がいた。
何十キロも離れた場所にいる標的も見つけ出す事の出来るシャチは当然の様に攻撃を開始。強烈な体当たり、のしかかり、尻尾に噛み付いて海底へ引きずり混む。仔鯨は絶体絶命だ。その時、突如としてコククジラとは別種であるザトウクジラの群れが現れ、大きな唸り声を上げながらシャチの群れに突進。
テールスラップ、ペックスラップ等(尾びれや胸びれを海面に叩きつける行動)でシャチを攻撃した。
ザトウクジラは世界で一番大きな腕を持つ生物。その胸びれ(前足)は5mにも達し、重さは500kgもある。それをシャチの頭を狙って振り下ろす。いくら海の王者シャチでも直撃したら致命傷になる。ザトウクジラはシャチたちをみごと撃退。コククジラの仔は無事にベーリング海に入る事が出来た。

ザトウクジラのこの行動は最近発見されたらしく、アシカなどの海獣類を助けていた事例もあるらしい。ザトウクジラはなぜ別種の生物を助けるのか、同種や肉親以外の生物の生命を守るという行動は生物界では殆ど無いことで、これはまだ謎だそうだ
つまり鯨も、本質的に弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示したということだろう。

本質的に善であっても、その後の環境によって悪にもなりうる。本能で生きている動物は善が悪に変わることは無いだろうが、人間の場合は変わる場合が多々ある。
結局のところ、自分の意志が大きな意味を持つのかもしれない。

2013年5月28日火曜日

カンヌ国際映画祭

フランスで開催されていたカンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督・脚本の「そして父になる」が審査員賞を受賞した。
コンペ部門は、米アカデミー賞を受賞したコーエン兄弟、ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した中国のジャ・ジャンクーら実績抜群の監督作品が多数を占めたが、その中での是枝作品の受賞は実力のほどをあらためて知らしめたといえる。是枝監督は04年の同映画祭に出品した「誰も知らない」で、当時14歳だった柳楽優弥に史上最年少で日本人初の男優賞をもたらした。今回は自信が栄誉に浴した。
社会問題を家族に絡ませるのはカンヌの一つの傾向だが、赤ん坊の取り違えを題材に二つの家族がもつれる姿を描いた是枝作品は、その流れに合っていたともいえるかもしれない。

世界三大映画祭は国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭のうち、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭の3つを指す。

映画祭というとアカデミー賞が有名だが、アカデミー賞は基本的にアメリカ映画を対象とした映画賞であり、作品の選考対象も「1年以内にロサンゼルス地区で上映された作品」と比較的狭義である(ノミネート条件はこの他にも詳細が決まっている)。
しかし、その知名度と権威は国際映画祭の各賞以上にマーケットへの影響力は大きく、受賞結果が各国の興行成績に多大な影響を与える。このため「映画界最高の栄誉」と評されることが多い。
しかしアカデミー賞はハリウッドの映画関係者が選考を行うことから、各賞の選出についてはアメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートもされないことが多いのは有名である。また、「英語以外の外国語映画には作品賞を与えない」とか「死者には賞は与えない」といったアカデミー賞独特の不文律などもあると言われている。

よって中にはアカデミー賞よりも三大映画祭の結果を重要と説く映画評論家もいる。「そして父になる」は日本映画のため、アカデミー賞作品賞にはノミネートされないから、そう言う意味でも今回の受賞は素晴らしい結果だと感じた。