フランスで開催されていたカンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督・脚本の「そして父になる」が審査員賞を受賞した。
コンペ部門は、米アカデミー賞を受賞したコーエン兄弟、ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した中国のジャ・ジャンクーら実績抜群の監督作品が多数を占めたが、その中での是枝作品の受賞は実力のほどをあらためて知らしめたといえる。是枝監督は04年の同映画祭に出品した「誰も知らない」で、当時14歳だった柳楽優弥に史上最年少で日本人初の男優賞をもたらした。今回は自信が栄誉に浴した。
社会問題を家族に絡ませるのはカンヌの一つの傾向だが、赤ん坊の取り違えを題材に二つの家族がもつれる姿を描いた是枝作品は、その流れに合っていたともいえるかもしれない。
世界三大映画祭は国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭のうち、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭の3つを指す。
映画祭というとアカデミー賞が有名だが、アカデミー賞は基本的にアメリカ映画を対象とした映画賞であり、作品の選考対象も「1年以内にロサンゼルス地区で上映された作品」と比較的狭義である(ノミネート条件はこの他にも詳細が決まっている)。
しかし、その知名度と権威は国際映画祭の各賞以上にマーケットへの影響力は大きく、受賞結果が各国の興行成績に多大な影響を与える。このため「映画界最高の栄誉」と評されることが多い。
しかしアカデミー賞はハリウッドの映画関係者が選考を行うことから、各賞の選出についてはアメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートもされないことが多いのは有名である。また、「英語以外の外国語映画には作品賞を与えない」とか「死者には賞は与えない」といったアカデミー賞独特の不文律などもあると言われている。
よって中にはアカデミー賞よりも三大映画祭の結果を重要と説く映画評論家もいる。「そして父になる」は日本映画のため、アカデミー賞作品賞にはノミネートされないから、そう言う意味でも今回の受賞は素晴らしい結果だと感じた。
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