2013年6月13日木曜日

性善説

人間の本性は「善」であるのか、あるいは「悪」であるのか。いわゆる「性善説」と「性悪説」の議論は永遠の続くように思える。しかしこれに対して科学的検証が入ったようだ。

京都大学大学院の鹿子木康弘特定助教らの研究グループが発表したもので、内容は次の通り。

研究グループは、ある図形が別の図形を攻撃していじめている様子をアニメ-ションで描き、生後10ヶ月の赤ちゃん20人に見せた。このあと、同じ赤ちゃんにアニメーションと同じ図形を選ばせたところ、80%に当たる16人がいじめられた側の図形を選んだということだ。
研究グループでは、弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示した結果と解釈できるとしている。グループでは、大人を対象に同じような実験を進めていて、大人では、いじめられた側に同情する割合が少なくなる傾向があるということで、鹿子木特定助教は「人は本来は善人である可能性を示唆している」と説明している。

このニュースを見てあることを思い出した。それはNKHスペシャル「鯨対シャチ」のワンシーンだ。それは次のような内容だった。

北米アラスカ沖に浮かぶアリューシャン列島。世界一と言われる豊穣の海だ。
春、メキシコ沖からクジラ親子が北上してくる。その幼いクジラを狙って続々と集まる総勢200頭ものシャチ軍団。最強ハンターは見事なチームワークでクジラに攻撃を仕掛ける。
そのアリューシャン列島のユニマック海峡で母鯨とはぐれたコククジラの仔がいた。
何十キロも離れた場所にいる標的も見つけ出す事の出来るシャチは当然の様に攻撃を開始。強烈な体当たり、のしかかり、尻尾に噛み付いて海底へ引きずり混む。仔鯨は絶体絶命だ。その時、突如としてコククジラとは別種であるザトウクジラの群れが現れ、大きな唸り声を上げながらシャチの群れに突進。
テールスラップ、ペックスラップ等(尾びれや胸びれを海面に叩きつける行動)でシャチを攻撃した。
ザトウクジラは世界で一番大きな腕を持つ生物。その胸びれ(前足)は5mにも達し、重さは500kgもある。それをシャチの頭を狙って振り下ろす。いくら海の王者シャチでも直撃したら致命傷になる。ザトウクジラはシャチたちをみごと撃退。コククジラの仔は無事にベーリング海に入る事が出来た。

ザトウクジラのこの行動は最近発見されたらしく、アシカなどの海獣類を助けていた事例もあるらしい。ザトウクジラはなぜ別種の生物を助けるのか、同種や肉親以外の生物の生命を守るという行動は生物界では殆ど無いことで、これはまだ謎だそうだ
つまり鯨も、本質的に弱く苦しい立場の側に同情的な態度を示したということだろう。

本質的に善であっても、その後の環境によって悪にもなりうる。本能で生きている動物は善が悪に変わることは無いだろうが、人間の場合は変わる場合が多々ある。
結局のところ、自分の意志が大きな意味を持つのかもしれない。

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