『シュガーマン 奇跡に愛された男』(Searching for Sugar Man)は、2012年のスウェーデン・イギリスのドキュメンタリー映画で、本年度のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品。あらすじは次の通り
「メキシコ移民の子でデトロイト生まれのシンガーソングライターのロドリゲスは、1970年代初頭に米国で歌手デビューするが全く売れず(全米で6枚しか売れなかったという話も)アメリカ音楽界から消え去った。
しかし数年後の1970年代末、どういうわけか突如アメリカから遠く離れた南アフリカ共和国で爆発的に大ヒット。累計で50万枚以上のセールスを記録した。
しかし南アフリカでは、そのロドリゲスが誰なのかその後どうなったのか誰も知らない。
そこで現代の南アフリカのジャーナリストとレコード店の店主がある人物がロドリゲスの消息を求めてウェブサイトを立ち上げる。そこのある人物から連絡が入る...」
それまでの音楽ドキュメンタリーといえば有名人を取り扱ったものが多かった。商業的にもそうでなければ成功はおぼつかない。誰も知らないミュージシャンの話など興味を持たないのだ。
しかしこの映画は全く無名のミュージシャン(南アフリカを除く)の音楽ドキュメンタリー。
題名となった「シュガーマン」という曲を聴いた。確かに良い曲だとは思う。しかし他の有名ミュージシャンの良いトコ取り的な感じでオリジナリティーはあまり感じなかった。
当時の南アフリカは悪名高きアパルトヘイト(人種隔離政策)を行っていた。このアパルトヘイトに南アフリカの白人の多くは賛同していたと思われるが、中にはリベラルな考え方をする人間もいてそのような人たちは自分たちの考えを表現する芸術に飢えていたのだろう。そしてロドリゲスの歌がそれにマッチした。南アフリカで売れてアメリカで売れなかったのはこの辺にあるのかもしれない。
無名のミュージシャンが突然売れ出すというのは現代でもあり得ることだ。しかしそのミュージシャンが誰か分からないということは今ではありえない。ほとんどの今のミュージシャンは自分のHPをもっているのでネットで検索すれば大概の情報は得ることが出来る。音楽は知っているが演奏者のことが分からないということは起こりえないことなのだ。
インターネットが無かった時代だから起こった出来ことなんだろうし、その曲だけでミュージシャンに興味を持たなかったのも面白しろい。ノスタルジックあふれる話だな。
曲だけが大ヒットしてそのミュージシャンが無名のままとは、どこか全米でヒットした「スキヤキソング」即ち「上を向いて歩こう」を思い出す。
機会があったら観てみたい映画の一つとなった。
ちなみに「シュガーマン」とは麻薬の密売人のことらしい。
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